草加松原とおくのほそ道

2020年5月14日(木)
新型コロナウイルスの緊急事態宣言はまだ解除されません。山岳団体も登山を自粛するように言っています。ハイキングの会の山行も、いつ再開されるか分かりません。アルバイトもお休みが続いています。
今回は草加松原の案内です。草加は、日光街道と奥州街道の2番目の宿駅(宿場町)、草加宿でした。草加宿といえば草加松原です。東武スカイツリーライン 獨協大学前<草加松原>駅から徒歩5分の所に「おくのほそ道の風景地 草加松原」があります。駅にも横断幕があります。

駅から東へまっすぐ歩くと、百代橋の大きな横断歩道橋が見えてきます。駅側からでは全体が見えないので、百代橋を潜り、文化会館前から撮りました。百代橋歩道橋のたもと北側に「国指定名勝 おくのほそ道の風景地 草加松原」と書かれた石碑があります。

草加市のマンホールにも百代橋が描かれています。
草加松原は、江戸時代から「千本松原」と呼ばれていました。

駅から県道49号足立越谷線に出ます。松並木は県道49号線足立越谷線、旧日光街道に沿ってあります。

道路を渡り、松並木の道沿いに左、北に向かって、東京外環自動車道の手前まで行くと、「草加松原・北端」の道標と丸いオブジェが並んであります。

ここから松並木が札場河岸公園まで約1.5km続きます。松並木は恰好のウォーキング、ジョギングコースです。いつも歩いている、走っている人がいます。

水原秋桜子の句碑「草紅葉 草加煎餅を 干しにけり」

水原秋桜櫻子は高浜虚子の弟子です。札場河岸公園に、正岡子規と高浜虚子の句碑があります。水原秋櫻子の句碑の向きは、松尾芭蕉像の方、正岡子規、高浜虚子の句碑の方です。水原秋櫻子の句碑はほかにも市内にあります。

百代橋の北側のたもとに、松尾芭蕉文学碑があります。
「おくのほそ道」の旅の第一日目、やっと草加という宿にたどり着いたと書いてある部分が、刻まれています。実際は粕壁宿に泊まりました。

松尾芭蕉文学碑
ことし 元禄二とせにや 奥羽長途の行脚 只かりそめに思ひたちて 呉天に白髪の恨みを重ぬといへ共 耳にふれていまだめに見ぬさかひ 若生て帰らばと 定めなき頼の末をかけ 其日 漸早加と云宿にたどり着にけり 瘠骨の肩にかゝれる物先くるしむ
只身すがらにと出立待るを 帋子一衣は夜の防ぎ ゆかた 雨具 墨 筆のたぐひ あるはさりがたき餞なとしたるは さすがに打捨がたくて 路次の煩となれこるこそ わりなけれ
西村本「おくのほそ道」より

百代橋は長さ62.5m、幅3.5m、渡るのはランニング、ウォーキングの人が多いです。

橋の上からの松並木

百代橋の南のたもとに「橋名由来」の石碑、その脇にドナルド・キーン先生の記念植樹があります。
橋の名前は「おくのほそ道」の冒頭部分が由来です。「月日は百代の過客にして 行きかふ年もまた旅人なり」は、学校で古文で習い、今でも覚えています。

国指定名勝 おくのほそ道の風景地 ドナルド・キーン先生の揮毫による標識(記念碑)

矢立橋は長さ96.3m、幅員は4.14m、百代橋の1.5倍の大きさです。
橋名の由来は「おくのほそ道」の「行く春や鳥啼き魚の目は泪 これを矢立の初めとして 行く道なほ進まず」からです。

橋の上から札場河岸が見えます。松並木が終わったところから桜並木です。左は、運河として使われていた綾瀬川です。

松並木の道は、「日本の道 百選」にも選ばれています。日光街道顕彰の碑

松並木は札場河岸公園で終わります。公園には、河岸を再現してあります。案内板に依れば「綾瀬川は草加地域と江戸を結ぶ大切な運河として、草加、越谷、粕壁(春日部)など流域各所に河岸が設置されて、昭和30年代まで続いていました。」とありました。

札場河岸公園入口には松尾芭蕉像があります。

道路を挟んで、おせん公園があります。そこには、芭蕉の同行者河合曽良の像があります。二つの銅像の作者は、彫刻家 麦倉忠彦さんです。

「草加松原 南端」の道標は芭蕉像の前にあります。

札場公園内にある正岡子規の句碑「梅を見て 野を見て行きぬ 草加まで」
正岡子規と高浜虚子は、明治27年3月、郊外に梅花を探る吟行に草加を訪れました。芭蕉の像の近くにある句碑は、正岡子規の弟子である高浜虚子の句碑「巡礼や草加あたりを帰る雁」高浜虚子の句碑の向きは、芭蕉像に向かってあります。

草加松原を、普段何気なく歩いてきました。旧日光街道であることも、「おくのほそ道」の芭蕉が通ったことも知っていました。今回、道端にある石碑を、注意して読みました。
「おくのほそ道」で芭蕉は、西行の足跡を訪ねました。正岡子規は芭蕉の「おくのほそ道」を行脚しました。私は俳句のことは知りません。でも、正岡子規は知っていました。高浜虚子も水原秋桜子の名前は知っていました。この三人が、正岡子規―高浜虚子―水原秋桜子の師弟関係であること、3人の句碑が草加にあることを知りました。
草加に住んでいる私たちにとって、「おくのほそ道」も松並木も身近です。2018年の市民美術展「市展」に出品されていた作品に、「おくのほそ道」の1節を書いた「書」がありました。松並木の松は、冬に向かって1本、1本こもを巻きます。その様子を描いた「絵」がありました。このように身近に、「おくのほそ道」、草加宿<草加松原>があります。